25歳の時、海へ飛び込んだ際に頭を強打し、首から下が不随となったラモン・サンペドロ(ハビエル・バルデム)の手記をもとにした作品です。自ら命を絶つ「尊厳死」を望むラモン。人権支援団体で働くジェネ。尊厳死の合法化的を手伝う弁護士のフリア。TV番組に出たラモンを訪ねてくるシングルマザーのロサ。そして家で26年間ずっと世話をしている家族。彼らの想いが交錯する愛と葛藤の物語。
主演のハビエル・バルデム、この方初めて見たので最後まで判らなかったのですが、20代前半から死ぬまで(60代だと思う)1人で演じてたんです!事故に遭う前の元気な彼とベットの上で寝たきりの彼、まるっきり別人のような姿なんで気付きませんでした(^^;
【ネタバレです】 ↑元気なラモン 寝たきりのラモン↓
「尊厳死」、植物人間状態で脳死の場合は非常に微妙だとは思うのですが、ラモンは意識がしっかりしていて、自分の考えで死を選ぶのだから、認めてあげたらいいのにと個人的には思いますが、宗教的なこともあり、そんなに簡単に答えが出せる問題でもないんでしょうね。
不治の病に冒されていたフリアが人生に絶望し、彼女自身も死を望むようになる。そしてラモンの書き溜めた詩を本にした時にラモンの死を手伝い自分も死のうと決意するのですが、結局、その約束は果たされることはなかった。フリアが怖気づいたのは人間として当たり前だと思う。この辺りはラモンと比較してみると、感情に流されて死を選んだんじゃないということや、彼の決意の堅さが見えてくる。
普通の人なら我がまましほうだいになっても不思議じゃないのに、人と接する時に自分の不幸話ばかりするわけでもなく、笑顔が絶えず、自制心がある(ように振舞ってる)ラモンを見ていると、彼が望むなら手伝ってあげたい気になるのかもしれないとは思いました。ただあれだけ家族から愛されてるのだから、やっぱり生きて欲しかった。空を飛ぶシーンはキレイすぎて、せつないですね。
立場によって想いも違うので、誰が正しいと言えないし、誰が間違ってるとも言えない。生きることが当然と思ってる私には答えは出せないが、少なくとも五体満足な人間が事情があったとしても、死を選ぶことだけはしてはならないと強く思いました。
2005年5月10日(火) ナビオTOHOプレックス
海を飛ぶ夢@映画生活