日曜に行ったのが間違いだったか、初回から最後までずっと満席でしたね。ついでに隣の「皇帝ペンギン」も。本当は2作とも見たかったんだけど、3時間待って、こちらだけ鑑賞してきました。
ヒトラーの女性秘書ユンゲの視線で、たんたんと客観的に描いている。それがなお一層、ヒトラーの2面性を映し出し、背筋が冷たくなるような怖さを感じた。自殺する間際の話だから、ドイツ国民を熱狂させた演説シーンやナチスの拡大といったことは描かれてないのだけど、彼の狂気を垣間見せるシーンが多々あり、振り回される周りの人たちの反応も興味深い。
【ネタバレです】
若い将校が戦争で2万人死んでると聞かされたとき、「それは若者の使命だろ。」、国民を守らなければと言われたとき、「自業自得だ。」、連合軍との市街戦に対して、「1つだけいいことがある。(新しいベルリンの街を作るのに)壊す必要がなくなった。」など、非情な独裁者として、ある意味期待通りな姿と、妻となるエヴァ・ブラウンや秘書のユンゲた身近な女性にみせる紳士然とした姿。ただの女好きなのかもしれないが(^^;気が狂ってるとは思えなかった。
普通の人ではないのは確かだけど、怪物ではない。ただ権力に固執しだしたら、何でもありになる恐ろしさを誰もが持ち合わせてるんだと思う。
狂ってると言えば、ナチスどっぷりのゲッペルス夫人の方がよっぽど逝ってしまってる。ナチスがない世の中で自分の子供たちを育てられないと殺す時の顔を見ていると血の気が引いていく気がした。
独裁者の周りには、必然的に保身を第一とするイエスマンしかいなくなる。第3帝国が崩壊していく様も、壊れかけた家からねずみが逃げ出すかのような側近たちのあたふたぶりが印象に残る。2時間半を越える作品ながら、骨太で見応えがあり時間を感じさせませんでした。
2005年8月7日(日) シネ・リーブル梅田
ヒトラー~最期の12日間~@映画生活