「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス監督作品。
あの作品はアメリカの中流家庭の崩壊を淡々とシニカルに描いてます。しかし私の好みではなかったので今作を観るかを迷ってましたが、予告編の中で私の大好きな曲、ボビー・マクファーリンの「don't worry,be happy」が流れていて、日常と戦場のギャップを表現するにはベタだけど分かりやすい曲だなぁと印象に残っていたので、この曲に免じて(偉そうに!)鑑賞してきました(^^;
舞台は家庭から戦場に変わっても、淡々とした雰囲気は同じでしたが、ただ待つだけの虚無感と兵士のやられ具合が伝わってきました。TVの向こう側ではゲームのような湾岸戦争でも、実際に従軍している兵士にとっては、精神力が試される修行の場であるかのよう。自分たちの力をコントロールすることも危うく、集団でいても孤独な時間をただじっと耐えなければいけない姿は、本当に痛々しいと思う。
【ネタバレというほどでも】
スオフォード役のジェイク・ギレンホールは、「ムーンライト・マイル」
「デイ・アフター・トゥモロー」での軟弱イメージがあって、戦争映画には合ってないんじゃないかと思っていました。普通の戦争映画なら、その通りかもしれませんが、兵士の内面の葛藤が全面に出てくるこの作品では、はまっていました。
「どうせ死ぬのだから、やらせてくれ。」というのは、気が狂ってる。でも「何のために戦場に来たんだという」葛藤から出てきた言葉だと思えば納得できないこともない。ただ、自分の手で射殺していたとしたら、帰国してからの苦悩はあんなもんじゃなかったに違いないと思う。
「地獄の黙示録」を観て盛り上がる様は、この映画で一番怖いシーンかもしれませんね。
2006年2月18日(土) 伊丹TOHOプレックス
ジャーヘッド@映画生活