普通のサスペンス作品だと思って、デイヴィッド・クローネンバーグ監督の前作「スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする」を上映時観ました。精神を病んだ主人公の現実か妄想かわからない世界に、ぽかーんとして全く楽しめなかった。友人からはこの監督はクセがあるから、観る人を選ぶかもと言われて、これからは観ないと心に誓ったんですよね(^^; でも今作は予告編がまともそうだったので、行ってきました。
エンドロールとともに、止めてた息を吐き出すほど、終始肩に力が入る作品でしたよ。
【ネタバレです】
暴力シーンは、長々とあるわけでは無いのに、凄惨さに思わず目を背けたくなる。有無を言わさず1発で急所を打ち抜く容赦の無さ。スイッチが入ると一瞬で、家族思いのトム・ストールから冷徹な目のジョーイに変わる。ヴィゴ・モーテンセンは強面なので、最初から恐そうなんだけど、目の演技はさすがです。
唯一の笑えるシーン?
「10代に会いたかった。」からって、妻エディ(マリア・ベロ)のチア・リーダー・コスプレは笑うしかなかったけど、見た目は十分いけてます。アメリカの夫婦はみんなあんな事するのか、ちょっと羨ましい(^^; 「Vフォー・ヴェンデッタ」のナタリー・ポートマンも子供コスプレやってましたが、最近はやってる?!
2年ほどで、奥さんだけでなく、息子も娘も実の父親のように慕ってるところをみると、本当に良い父親だったんでしょう。その貯金がラストにつながる。
兄貴を殺して帰ってきたトムを前に家族の空気が凍りつく。誰もどうしていいか、わからない食卓。娘が皿とホーク&ナイフを準備したおかげで、伏目がちにエディに伺いを立てる。エディの目には涙。ここで暗転かい(^^; 今後のこと考えたけど、この事件の記憶を抹消しない限りうまくいくとは思えないよなぁ~ 夫婦喧嘩のたびに蒸し返されるのはお互いに耐えられないでしょうしね。
2006年4月16日(日) シネ・リーブル梅田
ヒストリー・オブ・バイオレンス@映画生活