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【ハイサイ、シーサー♪】       映画・サッカー・競馬!
by borderline-kanu
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「父親たちの星条旗」
太平洋戦争末期の硫黄島での戦いを、日本とアメリカ双方の視点から描いたクリント・イーストウッド監督による第一弾。双方からの視点というのが面白いと思っていたけど、ここまで徹底的に日本人の姿がないとは思いませんでした。あと、フラッシュバックが多いので、顔と名前がなかなか一致しないとか、ありますが、英雄に祭り上げられた兵士たちの苦悩と戦争の裏側の冷徹な部分が見えてきます。

【ネタバレです】
「父親たちの星条旗」_a0031718_11221366.jpg

アメリカの艦隊が整然と硫黄島に向かうシーンは圧巻。「トロイ」を思い出しました。そこで海に落ちた兵士はどうなったのだろう。国は兵を守るというのが嘘だと判ったというようなセリフがありましたが、見捨てられたのでしょうか。

硫黄島上陸での戦闘は、観てるのが辛くなるぐらい過酷で、見えない敵と戦う恐怖心が見て取れるようです。そして、この戦闘が激しければ激しいほど、まだ戦闘が終わってない硫黄島から本土へ戻る3人の苦悩は大きくなっていくのだろうと思わせますね。

アメリカ国旗を最初に掲げた6人のうちの3人として、英雄扱いで迎えられる。
国債キャンペーンのために、摺鉢山の張りぼてに登る3人への歓声が、銃声に聞こえてきて、硫黄島で戦ってる仲間を否が応でも思い出してしまう。戦後の3人の行く末も含めて、誰のための、何のための戦争だったのかと考えさせられるシーンでした。アメリカだけではなく、戦争をすることを決めた政府の人間は戦場に行かず、どんな言葉をかけたとしても、本音は兵士や国民は捨て駒でしかないということを痛烈に感じました。

「本当の英雄は戦場のことを語らないものだ。忘れたいと思ってるから。」という言葉もありました。狙い撃ちのように狙撃され、ただ逃げ回っていただけと感じてる兵士にとっては、英雄と言われることの方が辛いという本音なんでしょうね。

長く続いた戦争で、アメリカは国債が売れないと今月で戦争ができないという状況は、予想外でした。しかし、国内の様子は、豊かとは言えなくても普通の生活はできているように見えます。それに引き換え、日本は「欲しがりません勝つまでは。」と家にある鉄製品を回収させられたり、食べ物も配給制になってるようでは、どう転んでも勝ち目がなかったし、そんなことをしなきゃならない時点で戦争できる力はなかったということを、思いしらされました。

エンドロール後に「硫黄島からの手紙」の予告編。イギーの死の真相なども明らかになるんだろうか。アメリカ側を見た限りは、日本側の視点も観なきゃという気にさせてくれる予告編です。

10月29日(日) OSシネマズミント神戸
父親たちの星条旗@映画生活

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by borderline-kanu | 2006-11-04 12:04 | 映画レビュー
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