【ハイサイ、シーサー♪】       映画・サッカー・競馬!
by borderline-kanu
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
「ディア・ピョンヤン」
本当は「明日へのチケット」を観ようと思ってました。しかし、梅田ガーデンシネマで「ディア・ピョンヤン」の前売券がまだあったので、思わず買ってしまい、そのまま、十三へ。本日は、「マーダーボール」に引き続きドキメンタリー2本立て。

大阪に生まれた在日コリアン2世の梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督が、自分のアボジ(父親)を撮り続けて10年。大阪でどこにでもいる普通のオヤジの顔と、元朝鮮総連の幹部として北朝鮮に忠誠をつくす姿を映し出す。

監督自身が父親の考えを理解できないということが発端で撮っているから、日本人の目線に限りなく近く、違和感なく物語に入っていけます。そして、何気ない会話の中で、アボジの家族への思いが伝わってくるんですよ!ピョンヤンで暮らす3人の兄たちの姿や街並みの映像は、検閲されているはずですが、普段見れないので貴重ですね。

故郷は南の済州島(チェジュド)ながら、日本に来て、北朝鮮を祖国にしたアボジの思いは、ほとんど描かれてなかった。祖国の意味を辞書で調べると、
(1)先祖から代々住み続け、自分もそこで生まれた国。
(2)(移住した民族などにとって)その民族の、もと住んでいた国。
とある。
日本人にとっては祖国と故郷が違う国であることは、まずないと思うが、アボジたち在日の人たちの中には、祖国と故郷が北と南に分かれてる場合もある。自分が生まれ育ったこともない国を祖国と信じ活動するのは、思想に共鳴したことだけなのだろうかと、不思議だった。

そこで、済州島について調べてみると、朝鮮戦争勃発直後に済州島四・三事件というのが起こってました。当時、北朝鮮が侵攻した際に、済州島では労働党員を中心に武装蜂起がありました。しかし、韓国軍に殲滅され、28万人いた島民が3万人弱まで激減してしまう事件です。(日本へ逃げた人たちも含む。)

あくまでも憶測ですが、
アボジは労働党員だったかは別としても、(本当に思想に共鳴していたのかどうかも)、韓国に対する恨みが根本にあり、朝鮮総連の幹部として活動するきっかけになったと想像もできます。そう考えると、大阪にいる時が本音で北朝鮮に行ったら建前を使い分けてるのかとも思いましたが、そう簡単ではないのかも。映画では触れられてない分、アボジの心の複雑さを感じました。

「オモニ(母親)、死ぬまで一緒。」と言うアボジは愛嬌があって大阪のおっさんにしか見えません(^^; また息子たち3人を北朝鮮に送り出したことを、後悔してる姿は、とても小さく寂しそうにみえ、親として決断したことの辛さが見て取れます。しかし、北朝鮮では、金正日の思想を親族に浸透させるとスピーチする姿は、何かに取り付かれたようでした。

アボジは本当に魅力的でしたが、実はそれ以上に印象的だった人がいます。
自分が言ったことにも、ワハハと笑うオモニの明るさ!それが、この家族を支えてるんじゃないかとさえ思います。そして、「親じゃないとできない。」とつぶやきながら、せっせと北朝鮮にいる息子たち3人の家族へ荷物を詰める姿を見ると、「母は強し。」という言葉が浮かんできました。

自転車に乗ったアボジをハンディカメラで追いかける時の揺れは、気分悪くなりますよ(^^;

ドキメンタリーでは、アフリカのある湖に放たれた1匹の外来魚から始まる「ダーウィンの悪夢」も社会派の作品のようで観てみたいです。

2006年11月5日(日) 第七藝術劇場
Dear Pyongyang―ディア・ピョンヤン@映画生活
[PR]
by borderline-kanu | 2006-11-11 21:37 | 映画レビュー
<< 「ナチョ・リブレ 覆面の神様」 「マーダーボール」 >>