潔い作品だと思います。
状況説明は一切せずに、事件に巻き込まれていく主人公セオ(クライヴ・オーウェン)の視点で臨場感たっぷりに描き切りました。「なんで子供が生まれないの?」「じゃぁ、あの娘はどうして妊娠したの?」「ヒューマン・プロジェクト、この怪しい組織って何?」とか、知りたいこと山積みなのは、本来は好きではないのですが、ドキメンタリータッチの映像に目が釘付けになりました。
【ネタバレです】
評判の「ラストの長回し」は、劇場で観れて良かったと思うほど迫力あり!血糊がカメラに付着してるのも緊張を高めてくれました。その他にも冒頭の爆発シーンや元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)が殺されるシーンも1カットで撮られてるんじゃないかと思ってたんです。そしたら、
「ひたすら映画を観まくる日記アルティメット・エディション」のタイプ・あ~るさんが映像の解説をされてました。
詳しくレビューを読んで頂きたいのですが、簡単に言うと、1カットで撮ってるように精巧にテープをつないでいるんです!このこだわりには監督の映画にかける心意気を感じましたよ。
イギリスだけが辛うじて、国としての体裁を整っていて、諸外国からの移民が多く、イギリス人とその他を隔離する・・・ これって、
「日本以外全部沈没」のシチュエーションに似てるんですよね。
しかし、あくまでもシリアスに描かれた2027年の世界は、どうせ将来の事だからと軽く見ることを許さない緊迫感がある。それは実際に今世界で起こっているテロや戦争をイメージさせるからです。唯一、 文化庁?の大臣の息子がやってるゲーム機だけが、未来的でしたね。でも取ってつけたようで、逆に必要ないと思いましたよ(^^;
ジュリアンは主要な役だと思ってたのですが、あんなに早く殺されるとは。セオとピン球でポコポコと今でも仲良さそうなとこを見せた直前だから、余計に驚きました。
「控えぃ、控えぃ、ここにおわす方をどなたと心得る!18年ぶりに生まれた赤ちゃんで、おわせられるぞ。頭が高い!控えおろう!」と水戸黄門の印籠のようなシーンは、人間の信仰心というか、性善説を信じたくなるような気になりました。子供が生まれたくないような世界にはしたくないですよね。
根本的な話なんですが、子供が生まれなくなって人類に将来がなくなったとしたら、こんな世界になるんでしょか?平和に長生きしたいんじゃないかって思うんだけど。似非平和主義者のカヌでした(^^; まぁ、人間の性(サガ)は変わらないか。
2006年12月7日(木) ナビオTOHOプレックス
トゥモロー・ワールド@映画生活