予告編でヴィヴィットな色使いと元気な主人公を観ると、監督が女性という共通点もあって
「マリー・アントワネット」を思い出してしまいました。写真家として有名な蜷川実花監督、映像に関しては、面目躍如の出来栄えですね。
先に
「SAYURI」を観ているので、江戸時代と昭和初期、また花魁と芸者の違いはあるものの、住む世界は非常に似通ってるので、描き方でこうも違うのかとも思いました。女の情念が伝わってくるウエットな「SAYURI」が外国人監督。エロティックさも薄く、土屋アンナのキャラクターも手伝ってか、明るくドライな印象(あくまでも「SAYURI」と比べて)のこの作品が日本人監督というのも面白いです。
【ネタバレです】
きよ葉(土屋アンナ)たちの着物だけでなく、部屋にある小物、カラフルな障子、生け花と、次はどう変えるのだろうと目を惹く美しさは、最後まで飽きさせません。吉原の門にある水槽の中に泳ぐ金魚と重なる遊女たち。「この中でしか生きられないんだよ。」と金魚に話しかける言葉はせつないですよね。
きよ葉が粧ひ(菅野美穂)から受け継いだカンザシを、お付の娘に渡したり、客との最中に覗き見る娘に笑いかけるシーンは、人が変わっても時代が変わっても、吉原は何も変わらないということを暗示してるようです。
良いようにとれば、ラストはそういった予定調和から抜け出したいという、きよ葉の気持ちの現れと思うこともできなくはない。しかし、個人的には納得できない終わり方でした。清次(安藤政信)との間には、お互いに恋心があったとはかもしれないけど、先を考えない能天気さにはがっかりでしたよ。
ヨメさんに言われて気づいたのですが、小泉今日子と永瀬正敏ニアミスでしたね(^^;
2007年3月11日(日) 梅田ガーデンシネマ
さくらん@映画生活