【ネタバレです】
これサスペンス映画かと思ってました(^^;
時間軸を行ったり来たりするのって、謎を隠すためにしていると思いません?
心臓移植をめぐる悲しい人間ドラマでした。
夫と2人の娘を交通事故で亡くしたクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)、その事故の加害者ジャック(ベニチオ・デル・トロ)、クリスティーナの夫の心臓を移植したポール(ショーン・ペン)。
ポールがドナー提供者がどんな人か知りたいと思う気持ちは判るけど探偵を雇ってまで調べるところが不自然な気がした。それに交通事故のこと知った時点で会うのは躊躇すると思うけどなぁ。
ポールは元々女好きで、奥さんと別居した原因もその辺りらしいと軽く触れられていたけど、何も知らない人(というか、あの状態のクリスティーナに)に好きというか、普通。
この映画誰一人として、幸せな人がいないんですよ。
ポールの奥さんは、せっかく元気になったのに、結局別居。
ジャックの奥さんもやっとまともに生活できるようになってきたところでジャックが服役し、子供も精神的な傷を負っている。(と思う)
そういったところまで、しっかり描ききっているのが、話に深みが出ていたと思う。
ジャックは、クリスティーナにとっては殺したい相手やけど、ポールにとってはある意味、命の恩人。ラスト、ポールが自分を撃ち抜くシーンは、彼の葛藤がそうさせたんでしょう。そして胸を撃ったにも関わらず、生き延びてしまったのは、それでも人生が続くという・・・現実。
エンドロールの間、じわじわと心に響いてくる作品でした。
冒頭から、これでもかというぐらい、あっち行ったり、こっち行ったりしてますが、見事なほど最後は上手く話がつながるのは、監督の力量やと思います。
ただ、初めて見る場合は、そこにどうしても注目してしまう。
油断してたら話が判らなくなると思うからね。それに場面が切り替わることで登場人物の想いや感情も途切れてしまう気がした場面もあった。(主観です。)
見てる方も気持ちが乗ってくるところで、ガラッと場面が変わるのもつらい。
プラス面は、場面を切り刻むことで、本当に見せたいシーンだけ、つなぎ合わせができるということ。普通の流れなら、前後のシーンが必要になるので、2時間では収まりきれなくなり、間延びした場面も出てきてしまう。
それに比べて、切り刻んでいること自体が不自然なので、逆に少しずつ場面が飛んでも違和感を感じないんよね。これは緊張感途切れず見れるし、素晴らしいと思った。あそこまですることもないんちゃうかとも思うけど。
ドラマとして見ごたえがあるのに、演出に凝りすぎた感があるんよね。
ただ何度も見れば、もっと評価あがるやろうなぁ。
過去の鑑賞分を掲載しています。
2004年6月6日(日) シネマ・アイリス