原作を読んだのがもう1年以上前なんで、細かい部分は憶えてないんですが、最初に映画化になると聞いた時、絶対に映像化無理やろうって思ったんですよね。だって、アレですから(^^;
【ネタバレです】
正直言って今回は本を読まずに観たかったと思いました。それぐらい映画も大満足です。なんと言っても、椎名(濱田岳)はドルジ(瑛太)のことを河崎(松田龍平)と思い込んでるところをどう映像化するのかというのが、興味の的でした。
小説だからこそ出来ることだと思ってたんですが、逆に映像化向きの小説なんじゃないかと思ったぐらい上手かったです。
具体的に言うと、椎名はドルジに「ドルジは隣の部屋の男で、自分(ドルジ)は河崎」と思い込まされています。この設定で普通に映像にすると、話が成り立たなくなるんだけど、ドルジから聞く話は全て椎名の頭の中の想像ということにすることですっきり解決してます。画面の色もカラーじゃなくて、河崎はドルジ役の瑛太が演じ、ドルジは隣の部屋の男が演じるという、椎名視点だから、観てる方もうまく騙されちゃうんですよね。
伊坂作品は、
「陽気なギャングが地球を回す」と
「Sweet Rain 死神の精度」を鑑賞しましたが、仏作って魂入れずじゃないけど、独特のテイストは画面から伝わってこなかったんです。しかし、この作品は話の構成は変えているものの、(逆にそれが映画としては正解!)台詞がそのまま使ってるところが多いのもあって、原作の良さを生かしてるなと思います。
引越した後、ダンボールをまとめながら椎名がボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでるのが聞こえたドルジが「ディラン!」と声をかける2度目のシーンは、それまでの塞ぎこんでいた気持ちが晴れたという感じがとてもよく出ていてて良かったなぁ。
一つ気になったのは河崎の死に方。いくらなんでも襲撃の途中の車の中というのは、HIVとは言え、いきなりでしたね。
2008年4月5日(土) DVD
アヒルと鴨のコインロッカー@映画生活