「チーム・バチスタの栄光」の正統派の続編と言っていいではないでしょうか。
「ナイチンゲールの沈黙」を読んだ時に、ファンタジー色が強いから続編になれなかったと思ったのですが、ほぼ同時期に起こった物語だったんですね。コインの表裏のような関係です。
最初の60ページぐらいまでは、別視点とはいえ、ほとんどナイチンゲールと同じ話なんですもん。これには大丈夫かと思いましたが、本来1冊の長編だったのをナイチンゲールとジェネラル・ルージュの2冊にしたという経緯を聞いて納得。分けた方がお互いの物語の輪郭がはっきりして良かったんではないかと思いました。出版社としてはその方が儲かるんでしょうが(^^;
バチスタ事件の後、田口講師はすっかり切れ者orくせ者と思われていたんですね~
院長に押し付けられた仕事で苦労したんだから、それぐらい周りから勘違いされたほうが、今後やりやすいんじゃないかと最初は思ったけど、知らないところで敵を増やしただけのようです(^^;
今回は殺人事件は起こらずに、速見部長の収賄に関しての物語になってます。前半で収賄をあっさり認めてしまったので、田口vs速見が見れなかったのは少し残念。しかし、エシックス・コミティやリスクマネジメント委員会での法廷サスペンスのような沼田教授や野村弁護士との丁々発止のやり取りは、胸がすく思いがします。
院内政治の人間関係が見れるのも個人的には好きなところ、会社であろうが病院であろうが、人が集まれば権力争いは絶対になくならないもんですよね。
収賄に手を染めないと運営できない緊急医療の実態というのが、ヒシヒシと伝わってきました。そういうメッセージを入れながらしっかりエンターテーメントしているので、読み応え十分な作品だと思います。
ジェネラル・ルージュの由来が、速見がまだ駆け出しの頃に城東デパート火災の搬送者を受け入れる際に、青白い顔だと周りが不安に駆られるから、真っ赤な口紅を塗って指揮したという話。どう想像しても顔が怖いです(^^; 映画(未見)ではどんな感じに仕上がってるんでしょうか、興味あります!
くちびるを赤くするより、頬にチークを塗ったほうが、血色良く見えて良いような気もするんですけどね~、そうしたらジェネラル・チークになっちゃう!?