クリント・イーストウッドの作品は近年のものしか鑑賞したことがありませんが、爽快な気分にはなるような作品はないけれども、いつの間にか画面から目が離せなくなり、感情に直接訴えてくるものがあるところが魅力です。
調べてみたら、初監督作品が私の生まれと同じ年!もう来年は80歳ということを考えれば不思議じゃないのでしょうが、人生の機微を知ってるだけでなく、映像として表現できるのは凄いと思います。「グラン・トリノ」も早く観なくちゃ。
【ネタバレです】
これが実話と知っていなかったら、ちょっと警察ありえないと思ってしまうほどの酷さですね。クリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の息子ウォルターは9歳にもなるのに、他人で誤魔かせると確信してる警察が滑稽に思えるのは今の感覚なんでしょうか。
背丈も違う、顔も違う、割礼されてる!、歯医者も学校の先生も他人だと言ってるのに、警察の高慢さがクリスティンとの会話で浮き彫りにされていく。こんなに一方的なところを見せられると、クリスティンに肩入れして観てしまいますよね(^^;
誘拐を手伝った少年の告白を聞く刑事のタバコの灰が落ちるシーンは、ありがちかもしれないけどインパクトがありました。この告白をきっかけにウォルターの失踪と子供の連続殺人事件が繋がり、中盤から物語は大きく動きだす。
連続殺人犯であるゴードン(ジェイソン・バトラー・ハーナー)が裁判で、2年収監の上死刑という判決が下りた。日本と違って、自分が死刑になる日まで宣告されるのは精神的にかなりキツイでしょうね。
彼が死刑執行直前になり、クリスティンと面会して真実を話したいと連絡が来る。ここで犯人がペラペラと話し出したら、映画的には盛り上がるなという思いと、しっかり築きあげた物語がエンターテイメントしすぎるかなという気持ちで観ていました。話さなかったのか話せなかったのか、結果的には犯人の2年間の心の葛藤が垣間見れた気がして、これしかない展開でしたね。
口封じのために精神病院に入れられるクリスティンを見ると、アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー助演女優賞を受賞した
「17歳のカルテ」を思い出しました。
あの作品を観た時、これからの活躍を予感できたけど、演技派として進むと思っていたので、アクション映画ばかりに出演していたのは残念な気持ちでした。でも今回、渾身の演技を見せてくれて、これからの出演作に期待が膨らみましたよ。
2009年10月12日(月)DVD
チェンジリング@映画生活