「ティファニ-で朝食を」で有名なトールマン・カポティ。
当時、小説と言えばフィクションが当たり前のなか、実際に起こった殺人事件を元に小説を書くことを決意する。最高傑作と言われている作品「冷血」を執筆するカポーティの作家としての狂気性や複雑な人格を描き出してる作品です。
カポーティの本読んだことないし、本人もどんな人か知らなかったので、予告編や粗筋聞いただけでは、観るかどうかは悩んだと思います。そう考えたら、アカデミー賞の力は大きい。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技はそっくりらしい。でも友達には絶対になりたくない!
【ネタバレです】

カポーティは、ゲイをカミングアウトしてたそうです。
「ブロークバック・マウンテン」の物語が1963年の出来事、ゲイは問答無用で殺される時代ですから(^^; NYでは平気でも、カンザス行ったら・・・
最初、カンザスで保安官?警察?に会いに行ったときの、反応がまさにそんな感じでしたもんね。有名人どころか、キワモノ扱い。
NYでカポーティが朗読会を開いたことを犯人の1人ペリー(クリフトン・コリンズJr. )に知られたところからは、俄然面白くなります。友人だと思っていたのにと言って、カポーティを睨むペリーの目の凄み。邪悪なゴラムようです。ペリーの姉が語っていた冷酷な一面を見たと思いました。
それでもカポーティは、適当にかわしながら、弁護士を雇って裁判を引き伸ばす。それで真実を知ったら、急に冷たくなって、死刑を望む。死刑のシーンがないと「冷血」は終われないから、当然かもしれないけど、犯人といえども人の心を弄ぶ様は気分悪いですね。
死刑の前にペリーたちに会ったときの涙は何なんでしょうか。自分が望んでいるのに、まさに役者やなぁという感じです。ダメ押しは、死刑の後のネルとの電話。「彼らを救えなかった。」「救いたくなかったのよ。」、ネルよう言ったと思いました(^^; それでも、実際にこの作品の後、書けなくなったというのは、彼にも良心のカケラは残っていたんでしょう。
ノン・フィクション小説を書くと言うのは、大変であったとしても、カポーティのやり方には全く共感できない。映画の狙いは観客にそう思わせることなんでしょうけどね。
2006年10月6日(金) 梅田ガーデンシネマ
カポーティ@映画生活